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我が城は永遠なりき

約2ヶ月まえの10月から築城を開始し、
先日本格的に開城の善き日を迎えることができた。
(続きは長いので、お暇な方のみどうぞ)

いやいや期待して読み進めようとした方、申し訳ないが、
決して、家を建てていた訳ではない。
自宅で細々とコンピュータのサーバを構築し、無事安定運用を開始していたのだ。
ネット上では「自鯖」と呼ばれている、いわゆる自宅サーバのことである。
とは言っても漠然すぎるので具体的に何をしていたかをリストアップしてみると、

  • DNSサーバ(名前解決:BIND)
  • ファイルサーバ(Windows共有:samba)
  • SSHサーバ(遠隔通信:OpenSSH)
  • NTPサーバ(時刻同期:NTP)
  • Webサーバ(ウェブデータ提供:apache)
  • SMTPサーバ(メール送信:posffix)
  • POP・IMAPサーバ(メール受信:dovecont)
  • データベース(MySQL)

これらスタンダードなオープンソースや様々なツールと共に、
上記サーバ群を1台のコンピュータにて運用していた。
20081215223012.jpg
外向けの名前解決については、
DDNSサービスとしてこれらのフリーなサービスを利用させて頂いた。

  • DynDNS.com services http://www.dyndns.com/
  • DNIP.NET http://www.dnip.net/
  • ieServer.Net http://www.ieserver.net/

このブログにも何度か登場しているセレロン773+256MBメモリという
10年ほど前の、古い古い機械を再利用しての「築城」である。
この非力なコンピュータの利点は、何より消費電力が少ないこと。
24時間30日運用で約700円程度。
カタログスペック的には600円を想定していたのだが、
256MBという少ない搭載メモリに見合わないサービスを強要したため、
恒常的なハードディスクスワップが発生し、
結果消費電力が100円ほど上昇してしまったようだ。
最近では当たり前の、デュアルコア技術を駆使しているているCPUに、
ギガ単位のメモリーを搭載したマシンでは、毎月何千円の電気代がかかるか想像しただけで、
真冬であるにも関わらず汗が噴き出そうだ。
ただ月700円と簡単に言えども単純に年間8,400円となり、
馬鹿にできた数字ではない。
これに関して、自宅サーバ奨励サイトでは、
「電気代はアフィリエイトで捻出する」とかアドバイスしてある。
では難点をあげると、ずばり低スペック。
かなりレスポンスが悪い、遅いということに尽きる。
CPUもメモリも弱小で、更に搭載してあるNICが10baseTのため、内部のLANからでも遅く感じた。
インターネットを介した外部からでは、ワンテンポどころかサーバが落ちているのではないか、
と思えるくらい待たされる事がしばしばであった。
ここまで遅いと、コンテンツの中にどんなお宝情報を散りばめていても、
誰もサイトを見てくれないだろうと言うことは、中学生でも想像できる。
アフィリエイト収入など、到底期待できるモノではない。
そんな、どうしようもない我が城であるにも関わらず、
飽きもせず2ヶ月ほど運用した最大の理由は、自分がrootだという事。
ホスティングサービスを利用していては、
絶対に味わうことのできない会館、開館、快感がそれにはあった。

shutdown -h now

これは電源遮断の実行コマンドである。
このコマンドが、何のためらいもなく発行できるのだ。
これは体験したことのある方にはご理解頂けるはずた。
何を言ってるのかと不思議に思ったあなたは、
人生の喜びの、大きな1つを享受できていない事と同義である。
サーバの電源を落とすと言うことは、その世界において、
つまり全てを司る、全知全能の神のみに許される行為なのである。

西方より、我が城への侵入を試みる輩あり。
神より託せしこの城の主は、かく言い放った。
皆の者、狼狽えるでない、この城が陥落することはありえぬ。

しかし城の主の前でありながら、西方からの猛攻は、止まることを知らず8時間余に及んだ。

我が砦 堅牢なり、されどCPU 非力なりき。
その者は、神を導く儀”su”の中で、伝承の言を唱える。
瞬く神がこの大地に降りたった。
余は、全知全能の神ルートなり
この城を悪しき者の手より救い出そうぞ。
ルートは、光輝くその掌を天高く掲げながら発せし。
“シャットダウン ホールト ナウ”

ルートが降臨せし大地には、一筋の光が差し込み、
ビィッというビープ音とともに、迫り来る西方の賊が繰り出す数え切れない凶行から、我らが城を守り賜った。

西方の大陸や半島から迫り来る輩は我が城には永遠に辿り着けまい。
この城は誰にも渡さぬ、誰も触れさせはせぬ、、、城の主ははそう言い放った。

っと、こんな感じである。
ここでは、 .cn や .kr ドメインを持つクラッカーにサーバを乗っ取られることは無かったとはいえ、
4秒毎に繰り返されるパスワードアタックが、気がつけば8時間前から継続されており、
彼らの不正アクセスを退けるべく、情けない話であるが、いわば電源を落としている訳だ。
この日以来、城の主はクラッカー対策を講じた。
この手のアタックを完全に封じ込めた史実が神話になる日は、まだしばらく先の事。
20081005135207.JPG
などと戯れ言を述べつつ、今回使用したOSは”Fedora 9″である。
この汎用OSを通じて、BINDの設定、apacheの設定や、
今やどこのISPでも常識となったOP25bに対するpostfixのコントロールなど、
サーバ管理について独学ながら、体験する事ができたことは非常に有用であったと思っている。
しかし、様々な知識を習得することと引き替えに、膨大な時間が費やされたこともまた事実である。
今回構築した自宅サーバは、今年一杯をもって終了することとした。
やはり電気料金が年間9,000円程必要というのは、このご時世には非常に痛い。
一般的なホスティングサービスを利用しても、年間でみるとそれほど必要ではない。
いくら、rootの権限があるとはいっても、

  • OSやソフトのバージョン管理
  • ウイルス問題
  • クラッカー対策
  • サーバの稼働に伴う発熱・騒音の問題
  • 停電時の対応

などを考えると、餅は餅屋に任せて、素直にホスティングサービスを利用する方が利口である。
と言う事で、今まで通りさくらのレンタルサーバ
を使い続けようと再確認した。
僕が構築した実験的自宅サーバで行ったことは、さくらのサーバではとうの昔に実現できている。
唯一できないことが1点。
そう、賢明な皆様にはもうおわかりであろう。
神を呼び起こし例の呪文を唱えることのみ、できない。
しかし、データセンタがどこに存在するかも知らない、
我々一般ユーザにとっては、全く無用のコマンドであることもまた然りなり。

コメント:3

hinata_papa 08-12-16 (火) 23:12

あのさ~
俺の代りにITの試験受けてくれない?
帰ってからCOBIT勉強してるんだけど頭痛くなってきた。

ultrablue 08-12-16 (火) 23:22

まさに、”due diligence” ですな。
頑張って下さい。

pinna 08-12-16 (火) 23:26

私が受けて、落ちてあげよっか~!?
(≧∇≦)b

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