Home > ほんとだすらい > 親父のカメラ

親父のカメラ



このカメラは親父から受け継いだものです。
みての通り、世間的に価値があるものではありません。
しかし、僕にとっては大切な機械です。
1964年に発売されたミノルタのフルサイズカメラで、
製品名はMinoltina-Pといいます。ちなみにレンズはROKKOR 38mm/F2.8です。
今もちゃんと写真が写るというのはすばらしい事です。
昭和の工業製品は、愛情を持っていればいつまでも使用できる点が好きです。
このことは製品の物理的な耐久性だけでなくそれらを取り巻く規格がいつまでも
変わらなかったということが一番なのだと思いますが・・・。

現状維持は退歩だという言葉があります。
新技術の開発にともなって新規格が制定されるということは
今のデジタル業界ではあたりまえの話です。
5年前の技術はすでに陳腐化してユーザは新製品の買い換えを迫られます。
先日の某社が表明したコンピュータ基本ソフトのサポート打ち切りについてもそうです。
ユーザはまだ当該製品を使用しているにもかかわらず、
その(昔の規格の)製品を使っていて不都合があっても
「新規格の製品を使わないユーザが悪い、メーカーは知りません」
というスタンスです。
なんか違うような気がしてなりません。
世界シェアをほぼ占めているこのソフトウェア会社の上記方針は、
売った後の事は、我々は知ったこっちゃない、後は自分でいいようにしなさいって事です。
物作りの原点から著しく逸脱した考え方やと思います。
良い製品を末永く使ってもらう、一生ものをお客様に提供するといった精神は微塵も感じられません。
ある技術の黎明期に開発された規格や技術は、しばしば淘汰されることがありますが、
世界のシェアを何年もトップで維持していたその製品を、数年前からサポート打ち切りの
アナウンスをしていたとはいえ、本当にサポートしないというのは、各界に与える影響は
はかりしれません。
このことを契機に僕の職場には、
「マイクロソフト社のウィンドウズ98をご使用のユーザー様へ」
と題したファックスが各社から舞い込んできました。
上記OSを用いて弊社製品をご使用の場合、今後障害が発生しましても、弊社といたしましては、
OSメーカであります、マイクロソフト社がサポートの打ち切りを表明しております故・・・・云々。
「おまえの所のソフトは、おまえの所でちゃんと管理せえや、よその会社のせいにすなぁ」
「ほんま、どいつも、こいつもぉぉぉぉ!!!」
って叫んでしまいました(心の中で)。
このソフト会社に限らず、使う人が使って初めて生かされる技術を、
そのメーカや業界の思惑だけで生かしたり殺したりしている、
いつの間にか、そんな変な世の中になってしまったようです。
日本光學工業株式會社から株式会社ニコンに社名が変わっても
ニッコールレンズのFマウントの基本的な規格は変わりません。
昭和の初めから脈々と続くニコンのレンズは現在の最上位機種F6でもちゃんと使えるのです。
「ちゃんと」の解釈は厳密にいうといろいろありますが、少なくとも写真はちゃんと写せます。
技術とはそんなものではないでしょうか。
その製品を使う人が安心してその製品を選択できる理由は、そんな技術が支えているのだと思います。
だから僕は、ニコンが好きなのです。


実家には今でも、僕が子供の頃に撮影された写真が何枚か残ってますが、
これらの中には、このミノルタのカメラで撮影されたものも含まれています。
このカメラで写したのではない写真は、親戚達が撮ってくれたものなんだそうです。
つまり当時の我が家では、唯一の画像の記録手段だったわけです。
親父の思いは、今でも写真という画像で残っています。
このカメラを製造販売したミノルタという会社は今は残念ながらなくなってしまいました
(コニカと合併してコニカミノルタとして生まれ変わっています)。
しかしカメラは40年近く経過した現在も写る状態で存在しています。


ニコンのデジタルカメラD50を入手して撮影枚数の制限や現像の待ち時間、
消耗品コストから解放されました。
それはそれで好ましい状況ですが、銀塩カメラの現像待ちの時間は
撮影状況を振り返ったり、期待に胸を膨らませることができるすばらしいひとときでもあります。
Minoltina-PやニコンのF4は銀塩カメラであるが故の
そんな特別なひとときを提供してくれる機械でもあります。
決して不便なカメラではないのです。
デジタルカメラで撮影されたJPG画像やRAWのデータは今後いつまで閲覧可能なのでしょうか。
40年後も閲覧ができるよう、ころころと規格の変更がなされないことを期待しています。
こればかりはニコンがもつ顧客中心の思想だけではどうにもならないかもしれません。
世の中が今以上、変な方向に進まないことを願ってやみません。

コメント:7

hinata_papa 06-07-02 (日) 23:01

Canon VTを先頃手に入れ使ってますが・・・・。
工業製品としても、今のカメラにはないつくりの良さがあります。50年前だからこそ、造る事が許された製品だと思います。
白黒フィルムで撮っていますが奥が深いです。
濃淡が出ないん?????フィルターを使っていたんだ・・・・・そう云えば、オレンジやグリーンのフィルターを使ってたっけ・・・・・格闘中です。

ultrablue 06-07-02 (日) 23:21

この時代の製品はまさに「大人の仕事ぶり」を感じます。
ところで、白黒フィルムは何を使ってますか?
僕は、先日50mmのレンズを買った時、お店でくじを引かされて、
1,100円分の商品券を貰いました。
ちょうど、フジフィルムの「ネオパン400(36枚)プレスト」が
3本で1,100円だったので、これを選びました。
フィルターは、オレンジとか使うのですか?
まるで、水中撮影時のビデオみたいですね~。

pinna 06-07-03 (月) 15:40

地球温暖化対策とかリサイクルとか言われてますが、企業の利益追求で耐久年数は短く設定され消費、消耗、使い捨てに慣れた現代。まず作り手に長く使える商品を作ることを奨励してもらいたいものです。
それからモノクロ写真でコントラストをハッキリさせるのは光の強さや彩度を気をつければよいのかと思っていましたがカラーフィルターを使わなければいけないのですか。知りませんでした。
私もモノクロデビューしたいのでさっそくどんなのが良いのか調べてみなくては!!

hinata_papa 06-07-03 (月) 19:28

今回はネオパン100を使っています。
20年以上前の事ですが、コダックはTRI-Xをはじめ定評のあるフィルムが揃っていたのですが、現像液とフィルムのロットがなかなか合わなかったので、自然ネオパンを使っていました。
ネオパン100は増感しても市販の400と変化がなく大変使いやすかった思い出があります。
自分で現像したり、プリントしたりなら上記のフィルムの選択になるでしょうが、ラボで焼くならカラーネガフィルム用の処理で現像できるコダックのBW400CN なんかの方が便利なのかな?

pinna 06-07-03 (月) 21:16

フジフィルムのネオパンというフィルムはモノクロ用の現像を頼まなければいけないのですか?
セピア色に仕上がるとか???
現像料が高くなる?
それに最寄りのお店でちゃんと現像してもらえるのかしら・・・。心配になってきた。

hinata_papa 06-07-04 (火) 7:36

モノクロ用の現像が必要ですね。現像料が高くなることはないです。
送りになりますので、時間がかかります。仕上がりに1週間程かかりました。
セピアになる事はありませんので・・・・。

ultrablue 06-07-04 (火) 22:29

1週間ですか・・・、結構時間がかかりますね
しかし、今後の銀塩カメラは、モノクロ撮影とか、
マニアックな特殊用途に特化しそうな予感です。
あくまで、僕の中ではの事ですが・・・。

コメントフォーム
Remember personal info

Home > ほんとだすらい > 親父のカメラ

feeds

Return to page top