Home > ほんとだすらい > 潜水士

潜水士

200904262311.jpg
昨日、「潜水士」という本を買った。
タイトルに惹かれて本を買ったのは何年ぶりだろう。
それくらいインパクトのある題名だった。
内容もそれ以上に濃く、深いものであった。

「潜水士」岡崎久(文芸社ビジュアルアート)
ISBN978-4-7818-0030-1

表紙を開き、目次を確認して、本文に入ると、その内容にどきどきしながら一気に読み切った。

レジャーダイバーに対して、コマーシャルダイバーという言葉がある。
潜水士という場合は、一般的にコマーシャルダイバーを指す。
僕も随分前に、潜水士の国家試験を受験するため、テキストにかじり付いていた時期があった。
潜水士とはどんな仕事をするのか、詳しくは件の書籍に著者が実体験に基づいて詳しく記されているので、そちらに譲るとするが、ヘリオックスなどのミックスガスやリブリーザなどの特殊な潜水具、専門的な記載はないので、潜水についての専門的な知識が全くなくても、興味深く読み進める事ができる。
ただし、減圧テーブルについては一カ所だけ、US NAVYのものについての記述がある。
厚生労働省の定めるテーブルとの比較を作者自身の体験を交えながら触れている部分がある。
これについてはフリッパーズの矢野さんが言っていた事とも一致している。
曰く、
「作業する場合、減圧の考え方が根本的に違いますよ、こんなに休んでいては仕事になりませんからね」
逆に、テトラポッドをクレーンで吊り上げるための玉掛けなど、一連の手順が臨場感いっぱいに描写されている。
まるで、僕までが現場の水域にいるような錯覚に陥るようであった。
常に危険と隣り合わせであるが、慎重にシミュレーションを重ね手順を確認しながらのチームプレーに息をのむ。
子供の頃に見た港湾建設の現場。
海からは無数のエアーがボコボコとわき上がり、その下には「モングリさん」が工事をしているのだと聞かされていた。
無心でその泡をみながら、浮上してくるオレンジ色の宇宙服の様な潜水士の姿にあこがれたものだ。
いまでは、あのようなヘルメット潜水にて作業する潜水士は少なくなっているようだが。。
そんな大昔の記憶が、この本を通じて今ここにに蘇った。
海に潜らなくなって久しいが、このような幼少期のあこがれが、ダイバーになる事を潜在的に意識させていたのかもしれない。
それはさておき、筆者自ら描かれたカットもすばらしく、読みやすい、おすすめの一冊である。

コメント:0

コメントフォーム
Remember personal info

Home > ほんとだすらい > 潜水士

feeds

Return to page top