- 2008-05-26 (月) 23:18
- ほんとだすらい
劇場で最後に映画を見たのは、「2004年2月」だったと思う。
				今から丸4年以上前の事になる。
				その後、何度かTVドラマ関連の邦画のために足を運んだが、
				残念ながらそれらは映画ではない。
				若かった頃は、一人でよく足を運んだものである。
				月に一度は、観ていたと思う。
				近頃は、2時間を黙って過ごすことが苦痛になったとでも言うべきか、
				とにかく劇場に行くことは年に1回か、2年に1回くらいなってしまった。
				先日(といっても半年以上前だが)TVを見ていたら、
				英語の音声で、日本語字幕のモノクロの映画が放映されていた。
				二人の男が、コーヒーで満たされた5つのカップと、
				いっぱいに散らかった灰皿が乗ったチェックのテーブルを介して対峙している。
				彼らが喋っている内容は、とにかくとりとめのない会話ばかりだった。
				この後、どう「落ち」が付くのか特に興味があるわけではないが、僕もとりとめもなく画面を眺めていた。
				しかし、この後、話しが進展することは何もなく、二人の男のうち一人はどこかに行ってしまって、
				残された一人も苦虫を噛みつぶしたというか、困惑したというか、とにかく淡々と話が終了してしまった。
				画面が黒くフェードアウトしたかと思えば、間髪入れず、
				“TWINS”
				というタイトルが映し出され、次のストーリーが始まった。
				虜になってしまった。
				完全に引き込まれ、画面の中のキャラクター達の仕草や、表情や、雰囲気を、穏やかな気持ちで見入っていた。
				日常すぎる日常のみを描写したその映画は、近頃の、展開に展開した後の、どんでん返しにつぐ大どんでん返し、「見るものを裏切らない、予想不可能なエンディング」といったコピーだらけで、大方の予想通りにエンディングが用意されている娯楽エンターテイメントなどは、足下にも及ばない、非常にシンプルで、まさに予想のつかない、見るものを裏切る映画だと思った。
				その、気だるく脈々と流れる日常の描写に、たまらなく好感が持てる。
				あんな風にタバコを吸って、コーヒーをがぶ飲みしてた時代が懐かしい。
				コーヒー飲み過ぎて胃の辺りに違和感を感じ苛ついて、その苛つきを抑えるために無意識にタバコに火をつけて、コーヒー飲んで、苛ついて、次のタバコに火をつけて、口の中がむかついて・・・・・、
				の無限ループから逃れられなかった時代が僕にもある。
				そんな実体験からか、この映画に登場する人々の日陰の部分が何となく理解できるようで、
				しかも、その陰の部分は、必ず人は抱いている部分で、人間の本質を、客観的に描いている映画だ。
				全ての人が僕のこの感情を理解できるかというとそれもまた否であるが、とにかくお勧めの作品である。
				肩肘張らずに、
				コーヒーでも飲みながら、
				いつものタバコに火をつけて、
				のんびり楽しむのもまたよろし。
				書くの忘れてた、
“Coffee and Cigarettes”
Director: Jim Jarmusch
Coffee and Cigarettes Official Movie Site
コーヒー&シガレッツ 公式サイト