- 2007-08-12 (日) 17:06
- 海水魚水槽
本日2回目の換水を実施しました。
車で2時間くらいの磯場から採取してきた10リットルの天然海水と置換しました。
ついでにタンクメイトも連れ帰りました。
・クモギンポ(4.5cm:写真)
・イソスジエビ(極小:4尾)
クモギンポはまたまた、妻が採取したもので、偶然というか大手柄でした。
当然のように、二代目「銀ちゃん」を襲名しました。
前回のエントリーでも書きましたが、コケと濾過のくだりについて少々補足です。
現在の我が家の水槽には、濾過槽がありませんが、底砂や飼育水内に棲息している各種バクテリア達により、硝化による濾過サイクルが機能し始めましたので、硝酸塩が蓄積されつつあります。
そもそも硝酸塩というものは、NO3-というイオンの状態で飼育水の中に存在しているため、当然目に見えるものではありません。
試薬によって計測するのが一番確実な方法です。
大まかな手順は、飼育水を規定量計測して採取し、試薬を加えて撹拌し、更に数分後別の試薬を加えて、カラーチャートの色と合致する色を探り、ようやくその濃度が推測できるのです。
前回、水槽を立ち上げた時は、理科の実験をしているようでその段取り自体も楽しかったのですが、理科実験の楽しさはすぐに飽きてしまいます。
サカナを飼う事が本来の目的ですから、当然と言えば当然ですよね。
しかも、試薬が結構なお値段なのですよ。
また、硝酸塩濃度を一定レベル以下に保つ事が必要なサンゴなどは飼っていませんので、試薬を使ってまで管理する必要がないのです。
そこで緑のコケが、目に見える指標となります。
硝酸塩を栄養分として生育するコケ(実際は藻の仲間)が発生すると言うことは、硝酸塩が発生したと考えてほぼ間違いありません。
つまり、硝化サイクルが確立したということになるのです。
ここから先の話しは、サカナに限らず我々人間を含めた生き物の多くに該当する話しです。
まずサカナから排出される排泄物や残餌などは飼育水を汚します。
発生する毎に除去するのが理想ですが、水槽に付きっきりになるわけにもいきませんし、排泄物の多くは肉眼で確認できるものばかりでもありません。
これをある程度自動的に実現しようとする仕組みがプロテインスキマー等です。
我が家の水槽では、投資できる資本の関係でプロテインスキマーは今のところありません。
っで、水槽内の排泄物や残餌(これらはタンパク質です)はどうなるかと言えば、
まずアンモニア酸化細菌によってタンパク質からアンモニア(NH4+)に分解されます。
このアンモニアは、サカナ(生き物)にとって非常に毒性の強い物質で、濃度が高すぎると多くのサカナは死んでしまいます。
金魚すくいで持ち帰った金魚が、翌日死んでしまう原因の多くは、このアンモニアによるものだと考えられます。
濾過サイクルが確立していない水槽にありがちな悲惨な事故です。
話しがそれましたが、アンモニア(NH4+)は、次に亜硝酸酸化細菌によって亜硝酸(NO2-)に変化します。
ここまで来ると毒性は軽減されますがまだ油断は禁物です。
次に亜硝酸(N02-)は毒性が非常に低い硝酸塩(NO3-)に分解されるのです。
これが好気性細菌によって、タンパク質が硝酸塩へ分解される硝化という化学変化の大まかなメカニズムです。
硝化された結果の硝酸塩も蓄積され続け、濃度が濃くなると生き物にとっては毒であることは間違いありませんので、換水によってその濃度を低減させるのです。
この換水には、カルシウムや鉄、ストロンチウム、ヨウ素など、サカナやその他の生き物が成育する上で不可欠な元素を補給すると言う意味もあります。
硝酸塩は上記の硝化の後、嫌気性細菌により、還元というサイクルを経て、最終的に生き物にとって無害の窒素へ分解されるのですが、この還元の行程は秋からのDSB水槽で実施することになります。
還元濾過が実現されると、換水の頻度が今より少なくてすむ予定です(あくまで予定です)。
しかし、現在の我が家の水槽の濾過サイクルは、硝化までで終わりとなります。
いかがでしたか、この濾過サイクルは、水槽内だけでなく、大きな建物の浄化槽や水道局の浄化施設などで、規模こそ違いますが同じようなサイクルで運用がなされているのです。
もちろん自然界では、絶妙なバランスでこのサイクルは回っています。
バランスが崩れると自然はおかしくなってしまうのです。