群 青 そろそろ、私がこのページを「群青」とした理由を、明かしてみましょうか・・・。 |
-20mを保ちながら、しばらく進みました。 周りは青一色で、前方に白いフィンが一つ見えるだけです。 眼前には、多少の浮遊物が見えるのみで、その他は何もありません。 まさに海の中に、我々のみの時間が続きました。 と、前を進む白いフィンは深度を落としていきます。 僕は指示通り現在の深度を維持しながら、待機しています。 やがて、白いフィンは、海の底に吸い込まれていきました。 間もなく、下から、点滅するライトの光が見えました。 僕も、そのライトを目印にヘッドファーストで、潜行を開始します。 漆黒の闇の中を小さな光を目指して降りていきます。 間もなくそのライトの光も消灯されて、真の闇の世界が私を包みました。 まさに、「群青」の中に私一人。 ただそこに存在しているという感覚があるのみでした。 ゲージに視線を移すと確かに潜降しているのが分かります。 深度計が、どんどんカウントアップされています。 極度の視野狭窄、耳の奥底に聞こえる幻聴、著しい高揚感、 これらは明らかに窒素の影響でしょう。 自分をしっかり保ちながら、耳の圧平衡をとり、フィンで、海水を蹴ります。 やがて、ぼんやりと白い、巨大な物体が視界に入って来ました。 沈船が、その姿を現した瞬間です。 船首と船尾がかろうじて形あるのみで、胴体の部分は概ね、土に帰っているようでした。 かなりの存在感で我々を迎えてくれたその船は、どれだけの年月をそこに存在し続けたのでしょうか、 痛々しいくらいに海底と同化していました。 |
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以上は僕のログを元にしています。 平成12年の師走、初めてレギュレータを口にしてちょうど1年を迎えようとしていた時のことです。 僕は、この132回目のダイビングにおいて、柏島の海にある、素晴らしい世界を再度確認しました。 その際の、非日常的な衝撃と、ひたすら無垢な感動は、正に「群青の海」がもたらしてくれたものでした。 |