May/26/'02 後浜1.5号ブイにて

しばらく、一定の距離を保って彼の行動を観察していました。
雌が産み付けた卵を中心に八の字のパターンで、上下左右360度を警戒しているようです。

そんな、厳しい表情の彼を撮りたくて、彼のテリトリーに敢えて侵入しました。
すぐさま彼は僕の行動に注目し、これ以上近づけまいと、制止を求めてきます。
切迫した表情の彼は、父としての役割を全うするため、僕に対して
何度も、何度も、警告行動をとりました。

この写真が、その瞬間です。

全身のヒレを精一杯広げ、これから先は絶対通さないと、僕のマスクの前に大きく塞がります。
一徹した意志が厳しく伝わってきました。
そんな我が子を守る、立派な捨て身の行動が感動的でした
僕は、そんな彼の意志に従ってそれ以上テリトリーを侵すことはありませんでした。

後浜では、よく観察できるマツバスズメダイですが、常に集団をなしているところしか
見たことがなく、今までさほど気にとめたこともありませんでした。
しかし、彼らも野生の生き物でした。
産卵期は単独となり、種の保存のために全身全霊をかけて、
僕たち人間に対しても行動を起こしてきます。


コガネスズメダイみたいに露骨な威嚇行動でなく、クマノミみたいに年中パクパクやってこないのがマツバスズメダイの奥ゆかしいところです(笑)


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