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年末に、考える

昨日、某所で昼食を食べてた時の事。
いつもは、沢山の客で賑わっている店なのだが、
年の瀬が近いせいか、僕たち以外の客は
中年の家族連れが1組だけだった。
オーダーした品物が運ばれ、お茶をすすり、
美味し、美味しいと舌鼓を打っていたとき、
若いカップルが来店してきた。
結婚が間近といった雰囲気の、初々しい若い二人である。
「うな重、天然、二つ」
彼が発した言葉である。
「かしこまりました」と店員さん。
席を離れようとしたそのとき、問題の言葉が聞こえてきた。

そのお店は四万十川沿いにある、天然の鰻を出すことで有名である。
僕たちは、12月30日の昼食にうな重を選んでいた。
さて、その問題の言葉とは、
初々しい若いカップルの彼女から発せられたものだ。
「あっ、一つはご飯少なめでお願いします」
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背の高いスラッとした女性だけど、小食なのねと僕は思ったのだが、妻の感想は少し違ったようだ。
妻は半分以上食べ終わっていたが、箸の運びが心なしか緩やかになった。
さて、お盆のものも含めて全て平らげた僕だが、妻は、重箱の隅をつつくような箸運びであった。
すると、「お腹一杯になった」と宣った。
「えっ、なんで?」
思わずそんな言葉が出てしまった。
「もう、お腹一杯で、食べられない!」
一口分残されたうな重からは、未だその威光が光り輝いていた。
こんな美味しいものを、残すのはお店に対して大変失礼であると判断し、僕は妻の重箱を平らげた。
店を出て、車に乗る際、
「一つはご飯少なめで・・・」
「ん?」
「あんな事、言った事無い」
「んっ、んっ?」
「私、お腹一杯になったもん」
「・・・ふっふっふっ、そうね、あんな事言わな、いかんもんかねぇ~、まだ若いしね~」
こん事を話しながら、車に乗り込み、家路についた。
では、皆さん、よいお年をお迎え下さい。

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